columnコラム

債権

債権回収のための督促状

弁護士 長島功

 未払いの報酬や売買代金,賃料などを回収するために,債務者に対して催促をする場面はあろうかと思います。弁護士に依頼をして弁護士名で催促をすることもできますが,金額が少額の場合などは,費用の関係で,皆様ご自身で債務者に連絡をとり支払を催促されていることもあるのではないでしょうか。その場合の連絡手段として,書面による督促状がよく用いられますが,以下,督促状を送付する際に注意すべき点について,解説していこうと思います。

 初回は,督促状の文面についてです。
 督促状を一般の方が書く場合,相手にプレッシャーを与えようとするあまり,表現が必要以上に威圧的になっていたりすることがあります。ただ,そういった表現は,内容によっては犯罪行為になりかねませんし,経験上も,威圧的な表現をしたからといって,回収の可能性が高まるというものでもないように思います。むしろ,無意味な感情的対立を招き,余計なやり取りが増える可能性もあるため,有害ですらあります。

 また,経緯,個人的な感情なども書きたくなることはありますが,あまりに長々とそういった記載をしますと,肝心の用件が埋もれてしまい,受け手としては,結局何を要求されているのかが,よく分からない文書になってしまいます。これでは,督促状の意味がありません。

 ですので,督促状はできるだけ端的に,相手にこちらの要求が明確に伝わるような文章が望ましいです。そのため,
 ①いつのどのような取引によって生じた債権の督促か
 ②その金額はいくらか
 ③期限はいつか
 ④どのように支払えばよいか(振込であれば,口座情報)
 ⑤期限までに支払がない場合の対応(法的手続をとる等)
を最低限盛り込み,分かりやすく伝える文面にすることを心掛けていただければと思います。

 次回は,督促状の送付方法やタイミングについて,解説したいと思います。