columnコラム

債権

債権回収 支払督促③

弁護士 長島功

 今回は支払督促の手続の流れについて,ご説明しようと思います。
 支払督促の手続は以下のように大きく2つの段階があります。

1 申立て
 まずは,支払督促の申立てを,必要書類とともに行います。
 申立てがなされると,裁判所書記官がチェックを行い,特に問題がなければ,支払督促を発付します。
 前回のコラムでもお話ししましたが,このとき,請求内容について証拠があるかや,相手方の言い分を聞いて審理をするといった,通常の裁判で行われるようなことはなされません。形式的に記載すべきことが書かれているかや,必要な書類が付されているかといったことのみが,裁判所書記官によって確認されます。
 そして,支払督促の発付がなされると,その正本が債務者に送達されます。

2 仮執行宣言付与の申立て
 支払督促が送達されて2週間経過しても,債務者が異議を出さない場合には,今度は,仮執行宣言付与の申立てというものを行います。
 そして,仮執行宣言付支払督促についても,同じく債務者に送達され,2週間経過しても異議がでなければ,仮執行宣言付支払督促が確定ます。
 これによって,漸く強制執行,つまり債務者の財産を差し押さえることが可能になります。

3 注意点
 手続の大まかな流れは上記のとおりですが,支払督促には債権者側にも期間制限があります。
 まず送達の場面ですが,債務者に支払督促が送達できなかった場合,裁判所書記官が債権者に対しそのことを通知し,その通知を債権者が受け取ってから2か月の期間内に,他の送達場所を申し出ないときは,申し立ては取り下げられたものとみなされてしまいます(民事訴訟法388条3項)。
 また,上記2の仮執行宣言付支払督促が申し立てられるようになっているにもかかわらず,30日以内に申立てを行わないときは,支払督促はその効力を失うとされています(同392条)。
 このように,支払督促には,いくつか期間制限が設けられていますので,申し立てる際は,その管理を行うようにしましょう。