cases解決事例

相続・成年後見

遺産分割調停の利用により早期解決が実現した事例

事案の概要

相続人同士の話し合いが進まないということで、相続人のお一人より当事務所がご相談を受けました。

被相続人が遺言書の作成をせずに亡くなったため、遺産の範囲や相続分について、一から話し合いが必要なケースでした。当初、相続人同士で話し合いを進めていたのですが、ご相談者様は、被相続人の財産状況が全くわからない状況だったため、まずは、被相続人の財産状況を把握している相続人に被相続人の財産状況が分かる資料を開示してほしいとお願いしていました。しかし、資料は開示されず、一方的に相続分について金額の提示がなされるのみという状況になり、ご相談者様としては適正な財産分与額がいくらなのか確認をすることもできず、お困りになってご相談にいらっしゃいました。

結論

当事務所にご相談にいらした時点では、被相続人の遺産の内容すら不明でしたので、ご相談者様に相続分として提示されている金額が妥当か否かも判断はできませんでした。

しかし、ご相談者様のお話を聞く限り、遺産の内容は複雑かつ非常に高額になる可能性がありそうでした。さらに、複数名の相続人がいましたが、どなたにも弁護士が代理人として就いていなかったので、適正な相続手続きの進め方について誰も把握しておらず、各々が言い分を述べるだけになっていることが、話し合いが進まなくなった大きな原因の一つと考えられました。

そこで、当事務所はご相談者様より事件を受任して、ご相談者様の代理人となると同時に、遺産分割調停を申し立てることにしました。

遺産分割調停には全相続人が出席しました。調停手続き開始後も、ご相談者様以外の相続人には代理人が就きませんでしたが、裁判所が一定の説明を行ってくれたため、被相続人の財産資料を保管している相続人より、必要な資料が開示され、法定相続分に従って相続手続きを進めるという方向で一致し、話し合いをスムーズに進めることができました。

結果、遺産分割調停が成立し、ご相談者様は、当初提案されていた金額を大きく上回る金額を相続することができました。

このように、複数名の相続人がいらっしゃり、各相続人に弁護士が就いていない状況の場合、一人の相続人に弁護士が就いたとしても、話し合いは滞ってしまう可能性が高いです。特に遺産の内容が複雑な案件では、それぞれの相続人に対して、状況を説明してくれる、専門家等が就かないと理解が進まないため、話し合いが止まってしまいます。そこで、裁判所にその説明する役割をお願いすることを想定して、調停手続きを利用することが、解決のための有効な手段となることがあります。

相続手続きについては、遺言書の有無、相続人の人数、状況により適した進め方が異なりますので、早めに専門家に相談されることをお勧めします。