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許可していないマイカー通勤により起こした交通事故と通勤災害①

 多くの法人では、マイカー通勤をする場合は、申請を出させ、許可をした場合のみ認めるという運用がなされているかと思います。さらに、就業規則等にもその旨規定しているケースが多いです。しかし、そういった運用になっている法人でも、申請をせずにマイカー通勤をしていた社員がいることが、途中で発覚することは珍しいことではありません。中には無許可のマイカー通勤の途中で交通事故を起こしてしまう人もいます。この場合、いわゆる「通勤災害」という認定がされるのでしょうか。

 今回は、そもそも「通勤災害」とは?ということを簡単にご説明したいと思います。

 通勤災害とは、「労働者の通勤による負傷、疾病、傷害又は死亡」のことを指します(労災法7条1項3号)同条項における「通勤」とは、就業に関し、①住居と就業の場所との間の往復、②就業の場所から他の就業場所への移動、③単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動を合理的な経路及び方法で行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています(労災法7条2項)。

 移動の経路を逸脱し、又は中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはみなされませんので注意が必要です(労災法7条3項)。ただし、例外もあります(労災法施行規則7条)。

 次回は、この通勤損害に関する規定内容をふまえて、マイカー通勤との関係を説明したいと思います。