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契約書などで使用する法令用語①

弁護士 長島功

 契約書を作成する際に、何となくお使いの日常用語であっても、法令用語としてはルールがあったりします。そこで、そういった法令用語について、いくつかご紹介していこうと思います。

1 「及び」と「並びに」/「又は」と「若しくは」
 単純に並列的に並べるような場合は、「及び」を使い、例えば「A及びB」と表記します。
 より数が多いときは、「A、B及びC」といった表記になります。
 ただ、単純な並列ではなく、その中に結び付きの強弱があって、グループがあるような場合には、「並びに」も使うことになります。
 列挙するものとして、A、B、Cがあり、ただAとBが1つのグループで結びつきが強いときは、それを表すために「A及びB並びにC」と表記します。
 また、同じように選択的に並べる場合の「又は」と「若しくは」の使い分けも、AとBが1つのグループで、そのグループ内での小さな結びつきは「若しくは」で表記します。そしてそれと別のCを接続する際は「又は」を使って表記します(A若しくはB又はC)。

2 「時」と「とき」
 まず「時」ですが、これは時刻やある特定の時点を示したいときに使います。
 例えば、「遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生じる」といった使い方になります。
 一方で、「とき」ですが、これは時点を示すというよりは、仮定的な条件を示す際に使います。例えば、「過失があるとき」などです。
 なお、「とき」と同じ意味合いで使う「場合」という用語がありますが、これは仮定的な条件が2つ重なるような場合に使い分けます。
 前提となる大きな条件には「場合」、小さな条件は「とき」を使います。Aを前提に、Bという事態がおきた際のことを示すときは、「Aが起きた場合に、Bが生じたときは・・・」といった具合に使います。