columnコラム

相続

遺留分侵害額請求に対する期限の許与

弁護士 長島功

 民法1047条5項では、受遺者・受贈者からの請求により、遺留分侵害額請求により負担する債務の全部又は一部の支払いについて、裁判所は相当の期限を許与することができるとされています。
 これは、どういった場面で機能するものなのでしょうか。

 典型的には、唯一の遺産である不動産を遺言で、相続人の1人に相続させた結果、他の相続人より遺留分侵害額請求訴訟を提起されたような場合に、問題になります。
 この場合、不動産を相続した相続人が他に預貯金や換金が容易な資産を持っているような場合はよいですが、その不動産を換金しなければ遺留分を支払えないような場合、遺留分侵害額請求を受けた日の翌日から遅延損害金を支払わなければならないのは酷な場合があります。話し合いにより支払い時期を調整できれば一番良いのですが、対立関係が強い場合には、それも難しいです。
 そこで、こういった場合には同条項を根拠に支払いの期限を先にすることを裁判所に求めることが可能です。
 ただし、ここで認められる期間は、当該不動産を売却して換金したり、或いは融資を受けるのに通常必要と考えられる期間で、例えば市場価格との関係で、今は売りたくない等として、年単位で先にすることなどはできないと思われます。