columnコラム

相続

遺留分の放棄

弁護士 幡野真弥

 相続の開始前に、相続人は、相続放棄をすることはできません。
 しかし、家庭裁判所の許可を経て、遺留分を放棄することは可能です(民法1043条3項)。 

 許可されるかどうかの判断基準は、以下の基準です。 
 <許可基準>
  ・放棄が自由意思でなされているか
  ・放棄理由の合理性・放棄の必要性
  ・放棄と引き換えの代償の有無(ex放棄と引き換えの贈与等)
  

 遺留分の放棄が自由意思でなされているかどうかがが問題なった事例として、和歌山家裁昭和60年11月14日があります。
 申立人は、父(高額な財産を有していた)から外国人と結婚したいのなら遺留放棄手続をするように示唆されていました。
 裁判所は「遺留分の事前放棄の許否の審判に際してはそれが相続人の全くの自由な意思によってなされたものであることについて疑いのあるような場合には、その疑いが解消されない限りこれを許可すべきものではない。」とし、本件は、結婚について父母の了解を得たいとの一心から、父の意思を忖度したのであり、被相続財産が高額であるから、本件申立が申立人の全くの自由意思によってなされたと認定するには多大の疑問が残ると判断しました。

 遺留分の放棄が不許可となる事案は少ないとされています。

 なお、相続開始後であれば、遺留分の放棄は家庭裁判所の許可なしに自由に行うことができます。