columnコラム

裁判例 相続

遺産分割協議後に発見された遺産の分割

弁護士 幡野真弥

 遺産の全てを分割するのではなく、遺産の一部を分割することは、現行法上では明文で認められています(民法907条1項)。
 もっとも、通常は、遺産分割をする際に、遺産の全てについてどのように分割するかを相続人の間で取り決めておくことが多いと思います。

 それでは、一度は遺産分割したものの、その後に新しく遺産が判明した場合は、どうなるでしょうか。
 原則として、最初の遺産分割は有効で、新しく判明した遺産のみを改めて分割することで足ります。最初の遺産分割協議の際に、新しく財産が判明した場合の処理について取り決めがあれば、その取り決めに従うことになります。
 例外的に、後から判明した遺産の存在が、もし最初の遺産分割協議の際に判明していれば、遺産分割協議の結果が大きく異なったといえるような特別な事情がある場合は、最初の遺産分割は無効とされることがあります。

 新しく判明した遺産について、遺産分割協議が調わない場合は、遺産分割審判となります。
 このとき、最初の遺産分割協議の内容が法定相続分とは異なる内容の分割方法であった場合(特定の相続人に有利な内容であったような場合)、新しく判明した遺産についての遺産分割審判では、どのように考慮されるのでしょうか。

 大阪高裁令元年7月17日決定は、この点について、「先行する遺産分割が法定相続分と異なる不均衡なものであったことを考慮し、本件の遺産を全て自分に取得させるべき」という相続人の主張を認めず、先行する遺産分割の際に各相続人の取得する遺産の価額に差異があったとしても、最初の遺産分割時にはそのことを是認していたというべきであり,その後の清算は予定されていなかったとして,新しく判明した遺産を法定相続分により分割することとしました。
 新しく遺産が判明した場合の分割方法について、参考になる裁判例だと思います。