columnコラム

獣医師

オーナー様とのトラブル④~クレーム対応(3)~

弁護士 小島梓

 前回までのコラムで,オーナー様からクレームが出てしまったときの不適切な対応や,気を付けていただきたいことをお伝えしてきました。
 今回は,では,クレームに対する適切な対応がどのようなものなのかについて簡単にご紹介したいと思います。

 前回お伝えしたように,オーナー様からクレームが出てしまうと,動揺や早く解決したいという焦りから,いたずらに謝ったり,言われるがままお金を支払ってしまったりという対応をとられる獣医師の方がいらっしゃいます。

 しかし,オーナー様も,ただ謝ってもらうこと,お金を払ってもらうことを希望しているわけではありません。当方の経験上,多くのオーナー様は,まずはペットに何が起きたのか,何故残念な結果が生じてしまったのかを知りたいと思っておられます。

 ペットが亡くなってしまったりすると,そのことにショックを受け,獣医師やスタッフに強い口調で感情的な発言をされることも多いため,オーナー様の本心が分かりづらくなるということはあるのですが,冷静にご希望を聞いてみると,ただ事実を教えてほしいと希望しておられることが多いものです。

 そのため,本来,獣医師が最初に行うべきことは,謝罪や金銭の支払いではなく,ペットに起きたことを丁寧に分かりやすく説明をするということになります。ただ,正直,感情的になっているオーナー様よりミスを咎められている中,当事者である獣医師が冷静に,説明を行うのは,なかなか難しいのも事実です。

 また,獣医学的に正しい説明をすることとオーナー様がそれを理解できること,納得できることはイコールではなく,各々のオーナー様に合わせて,理解を得られる方法で説明が必要となりますので,獣医療の知識があれば,問題なくできるというものでもありません。

 そして,オーナー様も獣医師への不信感を持ってしまっているため,どんなに獣医師が丁寧に説明をしても,獣医師からの説明という時点で,内容を素直に受け止められない傾向があることも事実です。

 当方としては,以上の点を考慮し,まずは,冷静になって,獣医師より飼い主様に事実経過等を丁寧に行うことを試みていただき,そもそもそれが難しい,さらにはそれは一度やってみたが,理解を得られる気配がないとなった時には,一度弁護士に相談いただくことをお勧めいたします。

 次回は,弁護士にご依頼いただいた場合,実際にはどういった対応を行うことになるのか,弁護士に依頼するメリットがどこにあるのかと言ったことをご説明していきたいと思います。