columnコラム

獣医師

オーナー様とのトラブル③~クレーム対応(2)~

弁護士 小島梓

 前回のコラムで,オーナー様からのクレームに対してご自身もしくは,スタッフによる対応を続けると,精神的に疲弊してしまうケースがあること,ゆえに長期にわたる対応はお勧めしないことをご説明しました。
 このように対応が辛いため,獣医師の中には,何とか穏便に,早く解決しようとして,その場を収めるために,オーナー様に謝罪文を書いて渡したり,言われるがままお金を支払うというケースが散見されます。

 しかし,この対応は必ずしも早期解決につながりません。非常にリスクのある行為で,収まるどころかより大きなトラブルに発展してしまうこともあります。
 そこで,今回は,謝罪や金銭の支払いといった対応に関して気を付けていただきたいことをご説明していきたいと思います。

 獣医師の立場からすると,謝罪もし,お金も払ったのだから,誠意も伝わって,分かってくれるだろうと考えがちです。しかし,オーナー様からすると,必ずしもそうではありません。

 オーナー様からすると,獣医師が謝罪もし,お金まで支払ってきたのだから,やっぱり何かミスがあったのではないか,何か他にも後ろめたいことがあるのではないか,○○ちゃんは,本当は亡くならずに済んだのではないかと感じてしまい,一層トラブルが続いてしまうことがあります。

 また,獣医師としてはとにかく早く払って終わりにしたいという思いから,お金を払ったことを示す書類なども残さずに急いで支払いを完了してしまい,オーナー様からさらに追加で請求されるというケースもございます。

 加えてこのような一連の行為は,オーナー様のみならず,裁判所にも,ミスを認めた行為とみなされてしまい,後に訴訟になった時に,獣医師側に不利に働くこともあります。

 このように,獣医師側がオーナー様に対して,安易に謝罪をしたり,お金を支払ったりすることは,解決につながらない可能性が高いため,当方ではお勧めしておりません。謝罪をしたり,お金を支払ったりすることで,解決につながるケースもあるのですが,そのためにはタイミングや方法が大変重要になります。

 オーナー様からのクレームが起きてしまうと獣医師のみならず,動物病院全体が落ち着かない状態になるものです。早期解決を目指したいと焦ってしまわれるお気持ちはよく分かります。しかし,早期解決のためにこそ,早期の段階で,一度,ご相談いただけるとよいと思います。

 次回は,オーナー様からのクレームに対する適切な対応やポイントをご説明したいと思います。