columnコラム

相続

相続法改正 遺留分制度③

弁護士 長島功

 前回は,遺留分算定方法に関するものとして,相続人への生前贈与についてコラムを投稿しましたが,今回は,負担付贈与がなされた場合の取り扱いについて,説明しようと思います。

 負担付贈与とは,受贈者,つまり贈与を受ける者が贈与を受ける見返りとして,一定の債務を負担する贈与のことです。このような負担付贈与がなされている場合の遺留分の算定方法についても,今回の相続法改正で明記されましたので,簡単な事例を設定してご説明しようと思います。

 被相続人の父親が亡くなり,相続人は長男,次男2名です。父親は遺言で全財産600万円をAさんに遺贈するという遺言を残していました。また,長男は,父親が亡くなる2年前に父親の負債200万円を負担する代わりに400万円の特別受益に相当する贈与を受けていました(負債は父親が亡くなるまでに既に完済)。このような場合,何も貰えていない次男はAに対していくら遺留分侵害額を請求できるでしょうか。

 従前は,遺留分の算定にあたって,設例のような負担付きの生前贈与がなされている場合,①負担部分を含む贈与額全額(つまり400万円)を算入するのか,それとも②負担部分を除いた部分(200万円)を算入するのかについて,争いがありました。
 この点に関して,①負担部分を含む贈与額全額を算入して計算をすると,

 600万(相続財産)+400万(贈与額)=1000万円
 が遺留分算定の基礎となる財産になるので,

 1000万×1/2(遺留分率)×1/2(法定相続分)=250万円
 が遺留分侵害額となります。
 

 ただ今回の改正で,負担部分を除いた部分に限って算定の基礎に算入する旨が明確に定められました(民法1045条1項)。上記②の方法です。その結果,負担部分は除いて算入することになりますので,

 600万(相続財産)+200万(負担額を控除した贈与額)=800万円
 が遺留分算定の基礎となるの財産になるので,今回の改正で

 800万×1/2(遺留分率)×1/2(法定相続分)=200万円
 が遺留分侵害額となります。

 ①の方法ですと,贈与を受けていた長男よりも,何も贈与を受けていなかった次男の方が最終的な取得額が増えてしまう逆転現象が起きてしまうという不都合もあり,今回②の方法を採ることが定められました。