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裁判例 離婚 医療 歯科医師

医療法人と離婚

弁護士 幡野真弥

 医療法の改正により、現在は出資持分のある医療法人は設立することができなくなりましたが、平成19年3月31日以前は、出資持分のある医療法人を設立することが可能でした。

 出資持分について、定款では、「社員の退社に伴い出資持分に応じて返還するなどとされている事が多いです。このような場合は、出資持分の評価は、出資した金額そのものではなく、退社時の医療法人の資産が基準となります。
それでは、医師の離婚に際し、医療法人の出資持分について、財産分与においてどのように考慮されるのでしょうか。

 この点について判断した裁判例として、大阪高等裁判所平成26年3月13日判決があります。

裁判所は、出資持分について、まず「本件医療法人の出資持分の評価額を算定す るに当たっては,収益還元法によって出資持分の評価額を算定し得るような証拠が提出されているわけではなく,純資産価額を考慮して評価せざるを得ない(最高裁平成22年7月判決参照)。」として、純資産額を計算のベースにしました。

 そして、退社した社員からの出資持分の払戻請求は、権利の濫用として制限されることもあり得ること、今医療法人の経営を続ける意思を有している医師が現在医療法人を退社することはなく、将来の出資持分の評価は、医療法人についてどのような事業運営上の変化などが生じるかについて確実な予想をすることが困難であることなどから結論として、医療法人の純資産評価額の7割相当額をもって出資持分の評価額としました。

 この事件では、寄与割合(https://www.owls-law.com/2020/07/906/)について6対4とされ、財産分与の金額は、約1億1600万円となりました。

 医療法人の出資持分がある場合、離婚に伴う財産分与が高額になる傾向がありますので、適切に資料を検討し、離婚条件についてよく準備しておく必要があります。