columnコラム

獣医師

動物看護師について④~診療の補助~

弁護士 小島梓

 今回は,愛玩動物看護師法により,動物看護師が新たに行いうることになった「診療の補助」にフォーカスして,その具体的な内容,罰則との関係をご紹介します。

前回ご紹介した通り,愛玩動物看護師の主な業務としては,
①獣医師の指示の下に行われる愛玩動物の診療の補助
②疾病にかかり、又は負傷した愛玩動物の世話その他の看護
③愛玩動物の愛護及び適正な飼養に係る助言その他の支援
という,大きく三つが想定されています(第2条2項)。このうち②③については従前の看護師も同様に行えたことです。しかし,①の「診療の補助」については,今回の法律の制定で行うことができるようになった新たな業務範囲となります。

 そして,愛玩動物看護師が行いうる「診療の補助」は、「愛玩動物に対する診療の一環として行われる衛生上の危害を生ずるおそれが少ないと認められる行為であって、獣医師の指示の下に行われるものをいう」と規定されています(第2条2項括弧書き)。この規定もかなり抽象的ですね。

 具体的にどのような行為が想定されているのでしょうか。
 この点,現在,検討中とのことで,具体的行為は法施行後,通達等の方法で周知されることが予想されます。
 ただ,現状,農林水産省のHPで公開されている情報から,採血,投薬(経口など),マイクロチップの挿入、カテーテルによる採尿などが想定されていると考えられます。

 また,愛玩動物看護師が行いうる「診療の補助」はあくまで「獣医師の指示の下」に行いうるものとされています。この「獣医師の指示」というのはどういった条件を満たせばよいのか,獣医師は現場にいなくてはいけないのか,もしくは電話,オンライン等でも足りるのかについては,現在検討されている最中です。今後,より具体的な基準が通達等の手段で示される予定です。

 さらに気を付けていただく必要があるのは,罰則が設けられているということです。
 獣医師法において,獣医師でない者が飼育動物の診療業務を行った場合,2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し,又はこれを併科すると定められています(獣医師法27条第1号)。

 では,これが具体的にどう適用されることになるかということですが,愛玩動物看護師については,「診療の補助」業務を超えて診療業務に該当することを行った場合,愛玩動物看護師の資格を有しない者については,診療の補助に当たる行為も禁止ですので,診療の補助を含め診療業務に該当する行為を行った場合に,当該罰則が科されることになります。

 このように,診療の補助に該当するか否かは,罰則が適用されるか否かに直結する問題ですので,動物病院のスタッフ全体で,誰が何をどこまで行えるのかについて一度共通認識を持つ機会を設けていただくことが,今後より一層重要になるものと考えられます。

 当事務所では,スタッフ向けの研修等も行っておりますので,愛玩動物看護師法施行前にぜひ一度ご検討ください。

 次回は,愛玩動物に含まれない動物に関する,愛玩動物看護師の対応について,獣医師法上の規定とも照らし合わせながら,まとめてご紹介します。