columnコラム

相続

相続法の改正 遺言制度②

 前回,自筆証書遺言について,直筆しなければならない部分が減ったことで,作成しやすくなったということを書きましたが(https://www.owls-law.com/2020/06/831/),他にも,従来の自筆証書遺言のデメリットを改善して,より安心して使える制度が来月(令和2年7月10日)より始まります。

 これまで,自筆証書遺言は,自宅などで,長期にわたり保管される結果,せっかく作成した遺言書を紛失してしまうケースがありました。

 また,自筆証書遺言の場合,相続人になる方等に遺言書を無断で閲覧され,破棄・隠匿,内容の改ざんなどがなされるケースもありました。

 これらは,遺言者自身の責任で遺言書の保管をしなければならなかったためであって,従来,自筆証書遺言のデメリットとされていたものです。

 そこで,「法務局における遺言書の保管等に関する法律」という新たな法律に基づく遺言書の保管制度が創設され,自筆証書遺言を公的に保管してもらえる制度がスタートすることになりました。

 具体的には,遺言者自身が作成した自筆証書遺言の原本を法務局に持参し,保管の申請をすることで,法務局において保管をしてもらうことができるようになります。

 これにより,まず紛失のリスクはなくなります。また,遺言者が亡くなった後,相続人等は遺言書の内容を確認できるようになりますが,あくまで亡くなった後に確認ができるだけで,遺言者の生前は遺言者本人以外,内容を確認することはできません。そのため,第三者が無断で遺言の内容を閲覧し,破棄・改ざんするリスクも回避できるようになりました。

 さらに,自筆証書遺言では,従前家庭裁判所にて,検認という手続きが必要でした。必要書類の準備に加えて,手続きに1か月以上かかることもありましたが,この遺言書保管の制度を使うことにより,検認の手続きも不要となりました。

 自筆証書遺言である以上,安全性・確実性という意味では,どうしても公正証書遺言には劣りますが,それでも,この新制度を併用することにより,自筆証書遺言のデメリットはかなり改善されます。

 ですので,7月10日以降の話ではありますが,自筆証書遺言を作成された場合は,自宅での保管ではなく,この新制度も併せて利用してみてはいかがでしょうか。 

弁護士法人 浜松町アウルス法律事務所
弁護士 長島 功